CALL




「俺の首を掻き切れ!遊戯!」
・・・俺・・は・・
じいちゃん・・・みんな・・・・
『・・・の・・・を・・・れ!・・・・・・ユギ・・!』

以前にも感じたことの在る危機感。
記憶の奥底で呼び起こされる姿。
お前はまた俺にそう言うのか?
俺はまた・・・・お前を失うのか――?


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無防備に投げ出された手足。
すやすやと規則的な寝息をたてて上下する白い肌。
所々に散った紅い鬱血が、先程の情事を思い起こさせて。
「・・・セト・・・。」
さらさらと零れ落ちるその髪を悪戯に指で梳きながら、
最愛のその名を呼ぶ。
白い手に指を絡めると、きゅうっと握り返してくる仕草が可愛くて、
普段からは想像も出来ない様な、あどけない寝顔。
「・・・う・・ん・・ゆ・うぎ?」
何回目かの悪戯にみじろぎしながら応える。
「悪い・・。起こしたか?」
「・・・今、何時だ・・?」
眠りから急に引き戻されたせいか、ひどく不機嫌そうな声で問いかける。
「5時くらいかな・・朝の。」
部屋に置いてある時計を指して、その時間を告げる。
「そうか・・。ならあと1時間したら起こせ。」
そう言って、波打ってるシーツを引き寄せてはまた眠りに落ちようとする。
ご丁寧なことに俺に背を向けて。
「っ!やっめろ!・・遊・・戯!」
シーツの上からその柔らかい肌をたどる。
先程までの名残があちらこちらに見え隠れして。
燻っていた身体はすぐに熱を帯びてくる。
「あと1時間しかないんだろ?」
頼りなげに身を捩るその首筋にキスをしながら遊戯が言った。
「っ離せ!・・お前と違って俺は忙しいんだ・・っっ!」
「・・知ってるさ」
どこか淋しそうに遊戯が答えた。
―――お前にはもう守るものがあるんだろう?―――
「あっ・・やっっ・・」
柔らかい双丘の間に指をすべらせて。
先程まで自身を呑み込んでいたそこは遊戯の指を難なく受け入れていく。
取り残されていた残骸がとろりと溢れ出してきた。
そのぬるりとした感触の気持ち悪さに瀬人が小さく喘ぐ。
「・・・や・めろっ・・遊戯!」
その言葉にぐちゅぐちゅと中をかきまぜていた指がずるりと引き抜かれた。
「・・っあ!」
ほっとしたのもつかの間、今度はその指に前を捕らえられる。
「・・!!はぁっ・・あっ・・あっ・・・・」
自身を煽る直接的な快感に思わず声が上がってしまう。
そうなってしまうのが嫌で、自らの腕を食んではどうにか堪えようとしたけれど。
「声殺すなよ・・・?」
顎をつかまれて上を向かされた。口内に指を含まされて閉じることが出来ない。
「いっやぁ!あっ・・・!!」
急激に高められた強すぎる感覚に両足を突っぱねながら瀬人はあっけなく達した。
小刻みに震えながら肩で息をするその人を抱きしめて。
「・・・海馬・・」
遊戯は先程の愛撫で綻んでいたその部分に己を突き入れた。
収縮する内壁が徐々に雄を呑み込んでいく。
「うあっ・・あっ・・いっあぁ・・」
イったばかりで敏感になってる身体がその衝撃にびくびくと跳ねた。
最奥を突かれて、一瞬目の前が真っ白になって。苦痛と快感とがないまぜになった感覚が瀬人を襲う。
「・・きっつ・・ほんといつまでたっても慣れないな・・」
遊戯はゆっくりと腰を引いた。
そのもどかしさにか、知らず瀬人がその身を捩る。
「んっふ・あっ・・ああっ・・遊・・戯・・」
入り口の辺りにゆるゆると愛撫を繰り返す遊戯に涙に濡れた声で懇願する。
「・・だってつらいんだろ・・?」
「・・っ・・」
その言葉にぎゅうと瞑られた目尻から涙が零れ落ちる。
背骨の辺りからぞわぞわと、どうしようもない熱が全身を駆け巡る。
出口を求めてうねるその熱にじりじりと冒されていく。
「・・・っもっと・・あっ」
「もっと・・・何?・・海馬?」
その口から続きが聞きたくて、煽るように腰をまわした。
「ひっあっ!・・・だっめっ・・あっ・・もっと・・っ」
「・・もっと・・・・奥・・まで?」
その問いかけに瀬人はただこくこくとうなづくことしかできない。
どうでもいいから早くこの苦しみから抜け出したかった。
「・・っああっ・・あっ・・イッアッ・・アア!」
壊れそうなほどに強引に揺すられて、甘い痺れが全身を走る。
「・・お前の声が聞きたい・・俺を呼べ・・俺の名を・・・・」
―――応えたい・・・お前の側にいたい・・・守っていたいのに・・・・――――
「・・・?っ・・遊っ戯・・?」
不意に動きをとめた遊戯に不思議そうに問いかける。
「遊・・っ・・あうっ・・くぅっ・・ああ!」
その沈黙の意味を知りたいのに、いつもこうしてその熱にはぐらかされてしまう。
何故かすごく不安で、何かを求めてふらふらとその手が宙をさまよう。
やがておずおずと遊戯の背中に縋りついた。
「・・遊・・戯・・・!」
呼ぶその声が限界が近いことを教えていた。落とされた睫毛が小刻みに震えて。
1度引き抜いてから、もう1度一気に最奥まで突き上げる。
「ふっあっ!・・ああっ・・あっも・・う・・アアッアッ!!」
猫のように背を撓らせて、遊戯を咥え込んだ粘膜がびくびくと痙攣した。
圧倒的な熱に翻弄されてようやく瀬人はそれを吐き出す。
ゆるゆると他緩していく身体を遊戯に預けて、瀬人はゆっくりとその意識を手放した。

涙に濡れたその頬を撫でながら呟く。
「セト・・・・」
――――離したくなかった
『・・お前の国を・・守れ!・・・ユギ!!』

俺が守りたかったのは――――

「・・・・・・セト――――」